咲くやこの花、誠の旗に
それを見て私は身体を起こす。
二人は布団の横に座った。
「体調はどうだ?」
男の人は心配そうに私の顔を覗き込む。
ガタイの良い、優しそうな顔をした若い男の人だ。
「あ…、体なら大丈夫です。それよりここは…?」
恐る恐る問いかけると、男の人は少年の方を見た。
「なんだ宗次郎、説明していなかったのか」
「えー、ちゃんと教えましたよ。ここは試衛館だよって」
宗次郎と呼ばれた少年は、口を尖らせながら反論する。
かなり適当な性格なのだろうか。
「それじゃあ何も分からないだろう…。すまない、急に知らない場所にいて驚いただろう?」
「い、いえ…」