咲くやこの花、誠の旗に
試衛館
鼻の辺りにむず痒さを感じる。
もさもさとした何かが顔を這う。
なんとも言えないこそばゆさに、顔を歪めた。
「へっ……へっくしょん!!!!」
「あ、起きた」
盛大なくしゃみとともに目を覚ますと、先程の少年が猫じゃらしを持って私を見つめる姿が映る。
身体に感じる布団の感触。
「ずびっ……、こ、ここは…?」
「ここは試衛館だよ。ちょっと待ってて、今勝太さんを呼んでくるから」
そう言って少年はドタバタと走って何処かへ行ってしまった。
試衛館、と言われてもさっぱり見当がつかない。
辺りを見渡してみると、私が寝かされているのは六畳ほどの部屋でこれといった家具は置かれていない。
試衛館とは一体何なのだろう。
頭に疑問を浮かべていると、少年が何やら男の人を連れて戻ってきた。