嘘月と君の声。



カランカランと木琴のような、鉄琴のような音がなるとお店のドアが開かれた合図だ。




「いらっしゃいませー....あ。」



課題に向かう手を止め立ち上がると、ドアを開けたのは店長だと気付く。


「美月ちゃんに、上田くんお疲れ様。...かいくんも来てたんだね。」



もう80代半ばくらいだろう。
店長は温厚な人で、このお店のゆったりした雰囲気にぴったりな人だ。


「店長こんにちは。」


今日した仕事(主に掃除)をまとめたノートを片手に店長に近付く。



「ん?ああ、ありがとう。」


そういってノートを受け取ってくれた店長が割と好きだ。
店長だけでなく、このお店の雰囲気や流れる時間も好きなのだろう。中々バイトが続かない私が珍しく続いているのだ。


「よし、美月ちゃん今日はもう上がっていいよ。上田くんは、ここの電気を変えて閉店作業したら上がって。」


いつもの事ながら、その店長の一言で1日が終わった気がする。


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