ボーイズロード ―second season―
会計を済ませた石川が玄関を出る。さっきまであれほど強く地面を叩きつけていたのがうそのように、雨はすっかりあがっていたようだった。

あ、あいつ傘忘れている。俺は、厨房にいるおばさんに声を掛けてから、石川の後を追った。


「石川、傘!」

「あ、ごめん。すっかり忘れてた。ありがとね」


「それとさ、若のことだけど」


一度振られてしまったら、もうその恋は終わったことになるのだろうか?

俺はそんな風には思わない。これだけ好きでいてくれる子のことは忘れることはないはずだ。


「多分さ、石川が若の事を忘れたとしても、あいつは石川に告られたこと、忘れることはないと思うよ。

若は今でも、自分の心の中に石川の気持ちを大事にしまっていると思う」


だからあいつは、俺らに告られたことを話さなかったんだ。


「ありがと、ニーナ。そう言ってくれると嬉しい。告白してよかったって思えるよ」

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