ボーイズロード ―second season―
その時、再び玄関のドアベルが鳴った。現れた客を見て驚いたのは俺だけじゃなかった。


一瞬、石川が目を丸くして彼女を見た後に、視線をぱっとテーブルの方に向けた。そんな彼女を俺は見逃すことがなかった。


「エスプレッソとスコーン頼もうかな」


幻滅されたと思っていたし、もう俺に会いに来ることはないと思っていた。しかも休みの日にわざわざ一人で。


「どうしたんですか?生徒会休みですよね?」

「コーヒーが飲みたかったの。前に飲んで美味しいって思っていたから」


私服姿の修香さんは、石川の座る席から3つ空けた席に腰掛けて、携帯をいじり始めた。


ちょうど厨房ではテイクアウト用のサンドイッチが準備できたので、俺はそれを石川に渡した。


「ニーナ、ありがと。そろそろお母さん着く頃だから出ようかな。また今度ゆっくり話聞いてね」

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