願いが叶ったその時…




百「…すみません」


「何故、謝るんです」


百「…なんとなくです」



なんだよそれ…
なんとなくってだけで…
解決できる問題じゃねぇんだよっ

俺が話しかけようとすると
木見谷百合はそれを遮った。



百「やっぱり、駄目ですね(苦笑」


「え?」


百「怖いですか?私の事…」


「っ」



気づかれてる



百「言うつもりはなかったんです
  本人から言ってくれるまではって…
  人には人のペースがありますから(ニコ
  …でも、自分から歩み寄らないと
  駄目ですよね?」



最初から、気づいていた
あの日、手をさしのべていた日から
ずっと俺は、この人に気を使わせていた?
話せと言えば俺は断れないのに
わざわざ俺から話すのを待っていた?



百「…き、今日はもう終わりですから
  帰っても大丈夫ですよ?
  夏風には私が言っておきますし
  もし、嫌なら私が夏風に頼んで他の人に」



「俺の…話、聞いてくれますか?」



彼女は驚いてはいたが
どこか嬉しそうにしながら返事をして
少し馴れてきた足取りでキッチンに向かい
座っていた俺の目の前にコーヒーをおいてから
自分の前にもコーヒーをおいた。



百「えっと…無理してませんか?」



彼女はいつも人の事を考えて、
それを優先してしまう
自分が傷ついているのをうまく隠して
誰にも見せないくせに…



百「光琉さん?」


「…長くなりますよ?」 


百「大丈夫です(ニコ」



その笑顔に和まされながら
俺は深呼吸してから話を始めた。




 
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