願いが叶ったその時…




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俺の家庭はごく普通だった。
皆、優しくて暖かくて…
でも、それが壊れたのは父の死を知らせる
電話からだった。



母は人が変わったように仕事にも行かず
家事もしなくなり
酒を飲んではいつも違う男と遊んでは
家に連れ込んでいた。


弟がいた俺は、弟だけでも思い
祖母の家に預けました。
俺もここにいろと心配してくれた祖母の手を払い
俺は母のいる家に帰った。


いくら酷くなったといっても
あの人を1人になんてできなかった。
俺を生んでくれて、育ててくれた
母親だったから…
見捨てることができなかった…


でも、その同情心が仇となった。


中3になった俺が家に帰ると
普段は帰ってくることのない
母親の靴が玄関に投げ出されていた。
他には靴がなく母だけだと思い、
なんの躊躇もなく俺は中に入った


リビングに入ると、ソファには
注射器を片手に持って倒れていた。


瞬間的に怖くなって
俺は音をたてずにでようとした。
けど、後ろに倒れていた鉢植えにぶつかり
音を出してしまった。


それに気がついた母は
父が帰ってきたと思い違い、
逃げ出せなかった俺は、母に押さえつけられた。


その日から、俺は女が怖くなった。
信じていたら駄目だと
それしか考えられなくなった。



 
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