忘れたはずの恋
「いいなあ〜」
嬉しそうに僕の妻、早希子さんが呟く。
家に帰ってから、普段話をしない職場の話をした。
元々、早希子さんは同じ職場で働いていたので内部事情はよく知っている。
そして、僕達も藤野と同じような職場恋愛をした。
藤野と吉永さんは正社員同士だけど。
早希子さんは長期アルバイトだった。
だから僕が年下でも立場は上だったので色々とやりやすかった部分はある。
「こちらがドキドキしてしまうね」
夕食の後片付けをしながら早希子さんは微笑む。
「…じゃあお聞きしますけれど。
早希子さんは僕が最初に告白した時、ドキドキしてくれました?」
ちょっと意地悪な質問。
「…全然」
真顔で言わないでください。
正直、へこみます。
「歳が離れすぎていたし。
恋愛対象でなかった。
だからね…凄く困ったかな」
…チラッと僕を見つめるその目。
いまだにドキドキしてしまうんですよ。
「…でも。
一偉(かずい)は諦めなかったし。
何度も好きだと言われて…意識するようになったけれどこんなオバサン、どこがいいのかわからなかった」
「僕はこの人を諦めたら今後の人生、真っ暗だと思いましたから」
早希子サン。
顔が真っ赤ですよ。
普段は絶対に人前では見せないそういう、可愛い部分が大好きなんですよ、僕は。
まあ、そういう部分を持ち合わせているというのを知ったのは結婚する寸前でしたけど。
「かず…。
もう、いいでしょ?
私達の話より、藤野君の話を聞きたいな」
恥ずかしさの余り、手をバタバタさせる早希子さん。
抱きしめよう、と立ち上がった瞬間。
「おとーさん、おかえりなさい〜!」
遠くのドアが開いた音が聞こえ、バタバタと足音が近付いてきて、腹部に圧力を感じた。
「ただいま…。
寝てたんじゃないの?」
一人娘の真菜は幼稚園年長。
…もう夜中の12時前ですけど?
「真菜はお父さん大好きだもんね〜!
声が聞こえたらついつい起きちゃうのよ」
早希子さんはクスクス笑って、一旦止めていた片付けの手を再び動かし始めた。
「じゃあ、お父さんが一緒に隣で寝ようか?」
真菜は嬉しそうに頷く。
仕方がない。
「また後で」
僕は早希子さんにそう言うと真菜を抱っこして寝室に連れていった。
嬉しそうに僕の妻、早希子さんが呟く。
家に帰ってから、普段話をしない職場の話をした。
元々、早希子さんは同じ職場で働いていたので内部事情はよく知っている。
そして、僕達も藤野と同じような職場恋愛をした。
藤野と吉永さんは正社員同士だけど。
早希子さんは長期アルバイトだった。
だから僕が年下でも立場は上だったので色々とやりやすかった部分はある。
「こちらがドキドキしてしまうね」
夕食の後片付けをしながら早希子さんは微笑む。
「…じゃあお聞きしますけれど。
早希子さんは僕が最初に告白した時、ドキドキしてくれました?」
ちょっと意地悪な質問。
「…全然」
真顔で言わないでください。
正直、へこみます。
「歳が離れすぎていたし。
恋愛対象でなかった。
だからね…凄く困ったかな」
…チラッと僕を見つめるその目。
いまだにドキドキしてしまうんですよ。
「…でも。
一偉(かずい)は諦めなかったし。
何度も好きだと言われて…意識するようになったけれどこんなオバサン、どこがいいのかわからなかった」
「僕はこの人を諦めたら今後の人生、真っ暗だと思いましたから」
早希子サン。
顔が真っ赤ですよ。
普段は絶対に人前では見せないそういう、可愛い部分が大好きなんですよ、僕は。
まあ、そういう部分を持ち合わせているというのを知ったのは結婚する寸前でしたけど。
「かず…。
もう、いいでしょ?
私達の話より、藤野君の話を聞きたいな」
恥ずかしさの余り、手をバタバタさせる早希子さん。
抱きしめよう、と立ち上がった瞬間。
「おとーさん、おかえりなさい〜!」
遠くのドアが開いた音が聞こえ、バタバタと足音が近付いてきて、腹部に圧力を感じた。
「ただいま…。
寝てたんじゃないの?」
一人娘の真菜は幼稚園年長。
…もう夜中の12時前ですけど?
「真菜はお父さん大好きだもんね〜!
声が聞こえたらついつい起きちゃうのよ」
早希子さんはクスクス笑って、一旦止めていた片付けの手を再び動かし始めた。
「じゃあ、お父さんが一緒に隣で寝ようか?」
真菜は嬉しそうに頷く。
仕方がない。
「また後で」
僕は早希子さんにそう言うと真菜を抱っこして寝室に連れていった。