柊くんは私のことが好きらしい

ざわざわするプールサイドには、老若男女が集まっていた。集客は上々。班に分かれ休憩を回しているはずのクラスメイトも見る限り全員揃っている。


「午前中はまあまあだったって聞いたけど、盛況……だよね?」

「メグが主役の回だからね。こんなもんでしょ」


学園祭も中盤を過ぎ、一般公開が終わる午後5時まで、あと3時間を切ったというところ。


飲食系で早いところは店仕舞を始めたと聞くし、粗方見て回ったお客さんが流れてきたのかと思っていたのに。


「何? ちょっと焦ってきた?」

「……柊くん効果なら、すごいなあ、というか」


私けっこう、すごいことしちゃったんじゃないかと。


スカートから咲とおそろいのスカパンに履き替えたのも、この時間のため。


「怖気づいたところで今更、逃げられないかんね」


そのひと言に顔を上げる。ゆらゆらと太陽の光を反射するプールの輝きに、思わず目を細めた。


「うん……頑張る」


決意はざわめきに紛れ、私は十数人のクラスメイトのうしろで始まりを待った。


キィーンと電源の入ったマイクから甲高い音が響くと、喧騒が止む。ここが舞台の見せどころと言わんばかりの笑顔でマイクを握りしめるのはふっくんだ。
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