柊くんは私のことが好きらしい


私は中学生のときから、左耳のうしろで髪を束ねるのが定番。それは回数を重ねるごとにヘアゴムからシュシュに変わったり、編み込みを混ぜたりとバリエーションも増えたけれど、結ぶ位置だけは変わらない。


「う~ん?」


変わるか? 変わんないよな、この顔は。


鏡の前で結び目を逆にしたり、ハーフアップにしてみたり、前髪を上げてみたり。多方向からチェックしたものの、どれもしっくりこない。


違和感しかないっていうか、逆に顔が膨張して見えるっていうか……ちっともかわいくない。むしろブサイクってか!


「はあ……、もう」


朝から何やってんだろ。

わしゃわしゃと髪を乱して、下ろした状態に戻す。鏡に映る自分はいつも通りなのに、それがなおさら気に入らず、眉間にしわを寄せていた。


やっぱり顔のつくりがさあ……いや普通なんだろうけど、普通すぎてさあ……。もうちょっと小顔で、目が大きくて、鼻筋通ってて、顎もシャープだったらいいのに。


そこまでいったら整形レベルですけども。


私にだって理想くらい、ある。


こんな風になりたかったと、軽口を叩く程度の憧れだとしても。


「もっとかわいく生まれたかったなあ」


言っても仕方ないことを口にして、苦笑を漏らした。
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