柊くんは私のことが好きらしい
「柊くんは恋する乙女の狡猾さをわかってないね」
「そーなんデス。俺は女子が何を考えてるのか、わからないダメな奴なんです」
柊くんは天井を仰ぎながら、自嘲気味に言った。
「だから、なんかされたら言ってよ。俺のせいでひまりが嫌な思いするとか、考えただけで自分殴りたくなる」
「柊くんのせいだったら、私が殴ってるよ」
ファイティングポーズから繰り出した右ストレートは虫も倒せない威力だったけど、それを二の腕に食らった柊くんは眉を下げ、微笑んだ。
「俺はひまりにモテればそれでいいなあ」
「そっ……それは、モテるって、言わない……」
不意打ちの発言にどぎまぎと腕を引っ込めれば、ふはっ、て軽く吹き出された。
機嫌、よくなったのかな。悪かったわけじゃないんだけど、自分を殴りたくなっちゃうくらいには不甲斐なさを感じていたっぽい。
柊くんってそういうとこある。ひとりで落ち込んで、どうしようかなって考えて、心が浮上できそうなことを試して、ひとりで立ち直る。
試される私の身にもなってほしいけど、そういうとこ、好き。
好きっていうか人としてね! 柊くんの長所としてね! 顔あっつ!
手で顔をあおぐのをやめ、感じていた視線の先を辿れば。
私の赤らむ頬をばっちり確認した柊くんは、うひひと歯を見せて笑った。