恋愛セラピー

ダメも、待っても彼の唇に飲み込まれてしまって、言葉にはならない。


きっと、わざとなんだろう。その言葉を口にしようとすると深く口付けられてしまう。その口付けも、甘く私を蕩けさせた。


そうなるともう、私にできることは彼に置いていかれないように必死にしがみつくことだけだ。


これ以上はないくらいの、甘い時間。


その濃密な時間は、このうえない幸福な時間だった。


理人くんの深い愛に包まれながら、思う。


愛して、愛されて、お互いのすべてを受け入れて。喜びも悲しみも、ふたりで分かち合う。


それが“愛し合う”ということで、分かち合うということなんだ。


一方が与えるでも、与えられるでもない、対等な関係。


私がずっと求めていたものが、ここにはある。


「好き、理人……好きだよ」


「俺も。世界で一番、皐月を愛してるよ」


夜に咲き誇る愛の花の力を借りて、解け合うように、混じり合うように深く愛し合う。


十年分の想いが、私を甘く痺れさせた。


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