恋愛セラピー

仕事が終わってから、迎えに来てくれた理人が私をまず連れてきたのが、私でも知っている有名なブランドのショップだった。


気後れしている私なんかお構いなしに、真剣な顔であれやこれやと服をあてられ現在の状況に至る……。


選んでくれた、白地に青い花の模様の入った形の綺麗なワンピースを手にとって眺める。


……素敵だけど、高そう。だけど、ここまで来て着ないのは理人に恥をかかせてしまいそうだから、大人しくそれに袖を通す。


サイズもぴったりだし、着心地も抜群だ。そおっとカーテンを開けると私に気づいた店員さんがニコッと満面の笑みを浮かべる。


「すごくよくお似合いです。靴はそちらをお履きください」


言われるがまま、用意されていたキラキラ光るビジューのついたオープントゥの黒い靴を履く。これも、サイズはピッタリ。


理人のすごさに驚愕している私に、店員さんは同じようにビジューのついた細いベルトを腰につけてくれる。


「優しくてとっても素敵な彼氏さんですね。センスもいいですし、うらやましいです」


「あ、ありがとうございます」


褒められて照れながらお礼を言うと、店員さんは本当にお似合いですよ、と微笑んでくれる。


「さ、彼氏さんがお待ちですからね、こちらへどうぞ」


促されて理人の元に戻ると、真剣な顔で私を頭のてっぺんから爪の先まで眺めて、満足そうに微笑む。

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