恋愛セラピー
そして現在、私が編んでいるマフラーと色違いのマフラーを作成中だ。
それももう、私より大分先に進んでいる。それを見てちょっと焦るけど、理人とふたりで過ごすこの何気ない穏やかな時間が、私にとってのなによりの癒しだったりする。
私と理人くんは、あのプロポーズの一週間後には両親への挨拶を済ませて、すぐに一緒に暮らし始めた。
私の両親は、三十歳にもなって結婚のけの字の気配もなかった娘の結婚話に大喜び……ではなく、最初は半信半疑だった。
しかも相手は、有名医大卒のエリート脳外科医。あんた詐欺にあってるんじゃないの、なんて疑われてしまったけど、理香の弟だと伝えると態度が一変した。
理香ちゃんの弟なら安心ね、と言われて……逆に相手がいないからって親友の弟に手を出すなんて、と今度は呆れられていたたまられない気持ちになった。
それで実際に理人を連れて行ったらもう、理人のイケメンぶりに母と姉は狂喜乱舞。
初めは母のあまりのフィーバー振りに嫉妬心を覗かせていた父も、理人の人柄に態度を軟化させて最後にはかなり気に入っていた。
両親に、「もう、百点よ!」と、無事に結婚の了承を得た私は、ドキドキしながら理人の家に結婚の挨拶に行った。