恋愛セラピー
ローズの罠
理人くんの目的が分からないまま、会うことも止められず。この不思議な関係は、ズルズルと一ヶ月も続いている。
理人くんは、それなりに忙しいですと言いながらも、暇を見つけてはこまめに連絡をくれている。予定が合うときに、理人くんの言うところの“お礼デート”をしているけど、やっぱり全然お礼にはなっていないと思う。
そしてデートの最後には、必ずアロマトリートメントをしてくれている。そんなことはないと理人くんは言うけれど、癒されているのは私ばかりだ。
そういう日は、私が寝ちゃうから理人くんの家に泊まるようになって、同じベッドで理人くんに抱きしめられたまま眠っている。
私は、今までは隣に人がいると全然眠れなくて、グーグー寝てる彼氏の横でため息をつきながら過ごしていたんだけど……。それが理人くんだとなぜだか熟睡できてしまう。
アロマの効果もあるのかもしれないけど、むしろいつもより深く眠れるせいなのか、次の日はやみつきになるくらい、すごくすっきりしている。
「皐月さん、身体つきが変わりましたね。俺好みになってきました」
いつものように、裸になってバスタオルの中にうつぶせに寝た私を見下ろして、理人くんはそんなことを言う。
俺好みって……それって、ちょっと恥ずかしい。