キミの笑顔が見たいだけ。


菜都のために自分にできることはなにか。


海生なりに考えた結果が医者になることだったんだろう。


口には出さないけど、思いはみんな同じ。


5%の奇跡を信じてる。


「おーい、菜都。晶斗さんって、カッコいいよな。早く起きないと他の女に持ってかれるからな。本人が気づいてないだけで、意外とモテるんだぞー!」


冗談めかした口調で海生が笑う。


「モテねーから心配すんな。それに俺は、菜都一筋だ」


「いやいや、ここまで言わないと起きないっすからね。晶斗さんの一途っぷりは、相変わらずすごいっす」


「そうか?べつに普通だろ」


「いやいやいやいや!俺にはムリっす。10年は長いっすよ」


10年前はまだまだガキっぽかったのに、今ではすっかり大人だ。


周りはどんどん大人になっていくのに、菜都の時間だけが止まってしまっている。


それって結構キツい。


自分だけが大人になって、菜都だけが思い出の中に取り残されている。


そんな気にさせられるから。


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