キミの笑顔が見たいだけ。
これは本当に菜都が望んでいたことなのか。
そばにいてほしいなんて、ひとことも言ってなかったのに。
ずっと、笑ってて。
それが菜都の願いだったよな。
でもさ、お前がいないと笑えねーよ。
今いるこの世界がモノクロに見えるんだ。
お前がいなきゃダメなんだよ。
いくら力強く菜都の手を握っても、握り返してくれることはない。
いくら名前を呼んだって、振り向いてくれることはない。
どれだけ想っても、この気持ちは届かない。
いい加減、くじけそうだ。
だけど弱音は吐きたくない。
「頑張ってるんだよな……?」
必死に闘ってるんだよな?
いつか目覚めるその日まで、ちゃんと待つからさ。
5%の奇跡。
それにすがって、この先も生きて行く。
眠り姫が目を開けることだけを願って。
「晶斗さん、お疲れっす」
「ああ、お疲れ。当直明けか?」
「そうなんすよ。急患が何人もいて、マジ疲れたっす」
そう言いながらも疲れたそぶりなんて一切見せず、爽やかに笑う。
相変わらずタフな奴だ。
この病院のスタッフの中で唯一の俺の理解者である菜都の弟の海生は、アメリカの大学で医学を学び見事医者になった。
駆け出しの研修医1年目。