現場系男子にご用心!?【長編改訂版】
母は布巾で皿をよけつつテーブルを拭きながら、安心したようにため息を零す。

父もまた、零れてもなお残っていた少量のビールを全部胃に流し込んで、嬉しそうに笑みを浮かべながら天井を見上げた。

ふたりの幸せそうな顔を見ていたら、なんだか私の心もほわりと温かくなる。

「とりあえず良かったね、里緒奈。その人と仲良くやるのよ、応援してるわ」

「う、うん。ありがとう、母さん」

「こりゃ来年家族が増えているかもしれんな!よし!今日は祝いだ、しこたま飲むぞ!里緒奈!」

「だから気が早すぎるってば……」



それから父の言葉通り、次の日お互い二日酔いで動けなくなるくらい、しこたま飲まされた。

ベッドから起き上がれず、体調は絶不調だったけれど、なぜかすごく幸せで。

たぶん、私に彼氏が出来たことを両親に報告したときの反応が、ちょっと不安だったんだと思う。
でも私の不安とは裏腹に、両親はとても喜んでくれて、応援してくれて。

結婚を急ぐことに関しても、母の話を聞いて理解が出来た。

真実はどうかは分からない。
でも、岡田さんならそんな経験がありそうな気がする。

だからって、私との結婚を急ぐのはどうかとは思うけど、もしかしたらそれだけ岡田さんにとってはトラウマなのかもしれないしね……。

いずれにしても自分も結婚に対して、真剣に考えなきゃいけない岐路に立っているってことだ。


岡田さんとの未来は、どんなものなんだろう……。
タイムマシンがあったら、未来に行って覗いてみたいもんだなぁ。


それから父と飲んではぐだぐだする毎日を過ごし、年越しはまさかのコタツで寝落ちしてしまっていて、気が付いたら年が明けていた。

カウントダウンが出来なかったのを悔やみつつ、そのまま近くの神社に初詣に行き、おみくじを引く。
結果は中吉だった。

『悩み事多し。自分の意思を貫けば吉。怪我に注意』

中身の文章を読み、いつもはさほど気にも留めないのに、やたらと今回は気になってしまったのは、書かれていることが、今の自分に当てはまったからなんだと思う。
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