正しい男の選び方

35階に着く。エレベータを開けたらそこは玄関だった。

「!?」

ドアの一つもなく、いきなり室内になっている。
しかも、ワンフロアまるまる彼の家らしかった。

これではまるで外国映画に出てくるペントハウスみたいではないか。というか、紛れもなくペントハウスそのものであった。

葉子の頭に警戒警報が点滅する。

これは……思ったよりも、大ごとな事態になりそうだ。

この、星野浩平という男、一体何者なんだろう。

ググっとけば良かった。後悔先に立たず、である。

浩平は軽やかに葉子の背中を押すと、優雅な手つきでキッチンに案内する。
案内されたキッチンは、葉子のアパートよりも広かった。

浩平は廊下に沿うように作り付けられたウエット・バーからワインとワイングラスを持ってくる。
そして手慣れた様子でグラスにワインを注いだ。

「乾杯?」

言いながら、葉子にグラスを差し出す。
葉子は進められるままにワイングラスに口をつけた。

まだアルコールなど一滴も入っていなかったが、すでに悪酔いしそうだ……。


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