正しい男の選び方

皆は、七面鳥の丸焼きを前に呆然としている。

浩平がおもむろに、フォークとナイフで七面鳥を切り落とし始めた。その手さばきに、みんな、うぉっとどよめく。

オーブンから出て来たばかりの七面鳥の丸焼きは、生きてる時の姿を彷彿とさせる。
それを切り落とすのをみてみんなが歓声をあげているのに、葉子は嫌気がさしてきた。

葉子は、いつかテレビのドキュメンタリーで見た、未開の種族たちが、キャンプファイアーの周りで豚の丸焼きだか何だかを焼いて狂ったように踊ってる姿を急に思い出した。
ここにいる人たちの表情も彼らと同じような顔をしている気がする。

肉を食べる時に、ヒトというのは興奮してしまうのかもしれない。
ご馳走を前に顔を輝かせている。

何か急に白けた気持ちになって、葉子は皆が集まっているキッチンをひっそり離れ、一人で小部屋の椅子に腰を落とした。

しばらくして、浩平がやってきた。

「こんなところにいたんだ。みんなテーブルに着いてるから来て。食べるよ」

「……信じられない、あんなモノ食べるなんて」

浩平はふっと息を吐く。

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