正しい男の選び方
こういう特売の売り場の構成を考えて飾り付けするのは、葉子の仕事の一つで、選ぶもの一つ、置き方一つで売り上げが全然変わって来るので、やりがいも感じて面白い。
まだまだ、葉子の裁量範囲は小さいけれど、時々、仕入れも好きなものを入れさせてもらえる事もあった。
葉子は、浩平の家の七面鳥のパーティーのことを忘れようとするかのように、仕事に精を出していた。
最近はちょっと気をぬくと、葉子に取り憑いた幽霊かなにかのように、浩平の顔がチラチラ浮かぶ。
昨晩なんか、二人で楽しそうにステーキを食べる夢など見てしまった。
最悪である……。
夢から覚めて、テレビの朝のニュースで、今年のエルニーニョ現象が異常で、温暖化は確実に進んでいるらしいというのを見て、葉子の罪悪感はハンパなかった。
テレビには砂漠化された森林や台風で街が破壊される映像が写し出されている。
葉子はテレビのスイッチをブチッと切って、急いで出勤した。