正しい男の選び方
「死体って、じゃ、生きてれば食べるの?」
今度は葉子がぎょっとする。
「やめてよ、キモチワルイ。そんなもの、食べるわけないじゃない」
「生きた体? それとも死んだ体?」
「両方!」
葉子はヒステリックに叫ぶ。
浩平は、ワインを飲み干してグラスを空けた。
「じゃ……何を食べるの?」
「いろいろ」
「例えば?」
「豆腐とか、豆。牛乳とチーズ。それにブルガリア・ヨーグルトとか」
浩平は疑るようなイヤな目つきをした。
「何が楽しいの?」
「え?」
「そんな人生のどこが楽しいわけ?」
どうして、ほとんどまともに話した事もない男にこんな失礼なことを言われなくちゃならないのか。
アンタに関係ないでしょ!……と言おうとしたその矢先に。
「だから、機嫌が悪いんだ」
と、さらに浩平は非礼な発言を重ねていく。
「えぇ…?」
機嫌が悪いとか……何でそうなる? この男、黙ってれば調子に乗るにも程がある。
葉子の内心を読み取ったのか、浩平は不敵な笑みを浮かべた。
「じゃなきゃ、急にあんなこと言う必要ないだろ」
「あんなこと?」
「レジでの話さ。カナに余計なこと言い出して。彼女、怒って帰っちゃったじゃないか。
オレは、今夜、彼女とこのステーキを食べるのを楽しみにしてたんだ」