正しい男の選び方
……ああ、その話か。
葉子はフンと鼻を鳴らした。
「別に。本当のことを言っただけじゃない。あなたが、女の子をとっかえひっかえしてるのは事実だし」
「だとしても君には関係のないことだろう?」
「私は、ただ、これ以上被害者が増えるのを黙ってみてられなかっただけよ」
「違うね」
浩平は間髪入れずに葉子を否定した。
「君は嫉妬した。オレが次々と女たちを口説いてるのに君は嫉妬したんだよ」
「はぁ? バッカじゃないの。見知らぬ男に嫉妬なんかするわけないじゃない。
あんたこそ、その根拠のない自信、何とかしないと付き合ってくれる女なんていないんじゃない」
浩平はゆっくりとワインを注ぎたしながら、葉子が捲し立てるのを黙って聞いていた。
それから、にやにやと笑う。
「じゃ、タンパク質が不足してるんじゃない? それともカルシウム? それでそんなにイライラしてるの」
鼻歌まじりにふざけながら聞いてくる。
葉子をからかって楽しんでいるのは明らかだった。
「はあああ!?」
「美味しいものを食べないからイライラしてるんじゃないの?」
なかなかに意地の悪い笑いを浮かべる。
「お言葉ですが、十分に頂いています」
ぐぐっとお腹に力を入れて、葉子も負けずに刺のある嫌味で返す。
「豆腐とか豆が?」
皮肉っぽい言い方が葉子の神経を逆立てた。
言い争いをしている間にも肉が美味しそうに焼き上がったようで、浩平はお皿に移した。