正しい男の選び方
「だけどさ、君がこのステーキを食べなかったら、
このステーキは捨てられてしまう。そうなったら、もっともったいないんじゃない?
すでに、このステーキの分のアマゾンの木は伐採されてしまったわけだし?」
「それは違う。今、ここで私が食べてしまったら、あなたは、次にまた同じだけの肉を買うでしょう。
食べなければ、次に買う量が減る。つまり、私が食べないことによって、将来的に肉の消費量を減らすことが出来るようになる。
それに、そもそもあなたが、明日、残ったステーキを食べれば何も問題ないはずよ、チキンの代わりにね」
葉子はまくしたてた。
えらい屁理屈を並べ立てる女だな……と、
葉子が恐ろしいほどの情熱を傾けて滔々と語り続けるのを、浩平は内心半ば感心しながら、半ば呆れながら見守っていた。
葉子の語り口はあまりに熱心で力強く、浩平が口を挟む余地はまったくなかった。
葉子は、ナイフとフォークを取り上げると、ステーキに添えられているポテトをざっくりと切り取った。
ポテトにナイフを入れた途端、隙間から湯気がふわっとのぼる。
熱々のベイクドポテトが食欲をそそった。