正しい男の選び方

葉子はじゃがいもの塊を一口、口の中に入れたとたん、相好を崩した。

「美味しい」

ほとんど反射的に褒めていた。

「肉はもっと美味しいよ」

浩平は、肉にナイフを入れる。湯気とともにジュワッと肉汁がこぼれて食欲をそそった。

「ほら、一口どう?」

葉子の目の前に、ステーキのかけらを突き出す。
葉子はむっとして、顔を背けた。

「だから、肉は食べないって言ってるでしょう。その、小学生並みの嫌がらせ、やめてよ」
「そっちこそ意固地じゃないか。食べられない、ってわけじゃないんだろ。小学生みたいに好き嫌いするなんてみっともない」

揚げ足を取るような返事に腹が立つ。

「だから、私は最初から断ったでしょう、食べに来たくないって!」

葉子の語気が荒くなった。気分悪いので、帰ってしまおうかと思って、席を立とうとした時、浩平はニコッと笑った。

「ごめん。やりすぎた。ステーキは強要しないから、せめてポテトは食べてよ」
「……あ、うん」

急に、柔らかい口調になったので、葉子も怒りをぶつける事もままならずそのままポテトを食べ続ける。

「確かに、美味しい」
「だろ。ちょっとしたコツがあるんだよ」

浩平は急に饒舌になって、ポテトの作り方を熱心に語り始める。


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