正しい男の選び方
「……でね、最初にオーブンに入れた時は真っ黒こげ。
我ながら情けなくなって、その日から、毎日ポテトを焼いてた」
「えー、飽きなかった?」
「だから、誰彼構わず食べてくれる人をウチに招待してた」
「ああ……それが、女をとっかえひっかえ呼ぶようになったきっかけってことね」
「また、そういう言い方。妬いているようにしか聞こえないよ」
「冗談じゃない。こんな肉ばっかり食べてる自分勝手な男はこちらから願い下げです」
何を言っても、焼きもちだと解釈する浩平に、葉子は呆れた。
大体、こんな贅沢三昧する放蕩男なんて、葉子の方で願い下げだ。
「じゃあ、君のカレシは肉も食べない、魚も食べない、ずいぶん淡白な男なんだろうね。
大体、声高に環境が、とか、温暖化のために、なんてヤツのことは僕は信用できないけどね」
「ずいぶんな言い方ね。それは、あなたが無知なだけじゃない。
アマゾンの森林がどれほど危機的な状況にあるか知らないから、そんな大層な口をきけるのよ。
さっきも言ったけれど、彼らは森林の木をどんどん伐採して大豆農園に変えてるの。
それも、家畜のエサを作るためよ、自分たちが大豆を食べるためですらないのよ。
瞬く間に土地がやせていく。すると、あらたな森林を伐採する。やせた土地に緑は戻って来ない。
そうやってできた牛肉がそこに載ってるのよ。
それを一口食べたら、アマゾンの木が一本なくなるんだわ。
それに、急激に発展しているブラジルではインフラの不足が深刻化している。
電気をつくるためにあちこちで水力発電を作っているの。
これが、アマゾンの生態系を急激に変えてしまっている。生態系は一度崩れたら、もとに戻すなんてこと、簡単にできないのよ。
だから、へんな伝染病がまん延してしまう。
それに、森林の乱開発は、鉱山を採るためにもおこなわれていて、今までに2700億円以上も投資されている。
最悪なのは、採掘のために水銀を垂れ流していることよ。
近い将来、アマゾンの森林は丸裸になってしまうでしょうよ」