正しい男の選び方
サングラスを外して葉子と政好の顔を交互に見る。
シャツにジーンズというラフな出で立ち。程よく力の抜けた格好が、「セレブの休日デート感」を演出していた。
隣では、やはりサングラスをかけた美女が首に巻いたスカーフなぞを風になびかせている。彼女はひらりとしたサマードレス。膝上の短い裾からは綺麗な足を覗かせていた。
まるで、映画から切り取って来たかのような二人だった。
葉子は質問には答えず、聞き返した。
「そちらこそ?」
「なんかすごい荷物だね」
「六角公園でお弁当を食べようと思って」
葉子は威張った。
その荷物は肩に食い込み、電車に乗ってえっちらおっちら運んで来た。
あまりの重たさに途中で投げてやろうかと思ったほどだったが、汗だくになって持って来た。
目の前の浩平たちは、といえば、オープンカーなどに乗って風を切るように軽やかに走り抜けている。
どこまでも享楽的な快楽を追求する浩平に、あえて主張したかった。
別に、スポーツカーなんぞ乗り回したり、高級バーに行くだけが人生の楽しみではないはずだ。
食べるものだって、最高級のステーキとか、物珍しい料理とかじゃなくたって、十分に美味しいものはあるのだ。
それしか楽しめないなんてむしろ気の毒だ。おにぎりのお弁当なんて最高じゃないか。
「全部家で手作りしてきたってわけだ。トーフステーキでもつくったの?」
「……そうよ、とっておきのレシピ」
「食べられなくて残念だなー」
どうして、この男はそういうみえすいたことをしゃあしゃあと言えるのか。
隣りのサングラスをかけた女がクスリと笑っているのも一々カンに障った。