正しい男の選び方
葉子がむっとしていると、浩平は隣りの政好に声をかけた。
「あなたもベジタリアンなの?」
急に話をふられて、政好は狼狽したような顔になった。
「あ、いえ……僕はそんなこと、ないですけど」
「だよなー、肉、食いたいよなー」
浩平は葉子をちらりと見ながら、ちくりと言う。
「いや、彼女が環境のことを考えて、ベジタリアンなのは素晴らしいことだと思います。僕は彼女を尊敬しています」
「……そうか、そりゃ、そうだな。うん。地球のことは君たちに任せておくよ。
オレたちは、ミッキーマウスと遊んでくるから。じゃ、良い一日を!」
浩平は、再びエンジンの音をブルンとたてると、さっさと走り去って行った。
取り残された二人は、無言で歩き始めた。
秋口の始め、空高く、風もさわやかで気持ちがいい。散歩するには絶好の季節だ。
それなのに、葉子の足取りは重たい。荷物が肩に食い込んで痛かった。
さっきまではウキウキした軽やかな気分で歩いていたのに……。葉子は、浩平が颯爽とスポーツカーでやって来て、楽しそうに走り去って行ったのがしゃくに障っているのを認めないわけにはいかなかった。
向こうは向こう、こちらはこちら。気にすることではないはずなのに。