スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―


ため息交じりの加納の声が聞こえた。


「なるほど。これは失礼した。仕事上がりでお疲れのところ、邪魔をしてすまない」


「いえ。火も落としてしまいましたから、もう料理が作れなくて。お構いできず、申し訳ありません」


加納が立ち去る気配がある。

俊くんは愛想を保ってみせていたけど、お客さんの帰り際によく言う「またお越しください」を口にしなかった。

するわけないか。


カラカラと戸が閉められて、鍵のかかる音がした。

俊くんが座敷に姿を見せる。


「美香子先生、援護射撃ありがとう。あのままじゃ体を張るところだった」


「そういう気配を感じたから、わたしが出ていこうと思ったのよ。俊文くんが体を張る前に、お水でも掛けてあげようと準備していたんだけど」


おっとりした口調で威勢のいいことを言う美香子先生に、頼利さんと俊くんが同時に、そっと笑った。


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