スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―


充実した時間が、わたしを欲張りにする。

もっともっと、あれもこれも。

呼吸も鼓動も体温も上がってしまうほど、ただ弾いてるだけなのに、わくわくしてゾクゾクして止まらない。


でも、終わりというのは、どうしても来てしまう。


延々とループして20分くらい弾き続けていたら、自分でもあきれるくらい、手が疲れてしまった。

もつれ始めたわたしの指を、頼利さんの耳は正確に察知した。


「そろそろラスト、行くぞ」


「えーっ!?」


「手、傷めんぞ」


「でもー」


「休憩挟んで、やれそうならやる」


「はーい……」


「ラスト、キッチリ盛り上げていくぞ」


「はーい!」


楽しくて、素直になってしまう。

なんて大切な時間。

もったいないほどキラキラなラストを、頼利さんが演出してくれた。

目と目で合図して、同じタイミングでフィニッシュを迎える。


胸が熱くてたまらなかった。


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