スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―


「どした? 気持ちいいか?」


涼しく妖しく、耳元で笑う吐息。

髪を掻き上げられて、耳のすぐ下にも、意地悪な唇を感じた。


「あ、跡が、付いちゃう……」


「見えるか見えねぇか、ぎりぎりのとこにしか付けねぇよ。それも、軽いやつだけな」


手慣れすぎだぞ、こんにゃろ。

と言ってやりたかったけど、口を開けたら、途切れがちな息しか出なかった。

ヤバい、くらくらする。


震えながら立ってるのが精いっぱいだった。

頼利さんに身を任せたまま、しばらくそうしていて。


「行くか、そろそろ」


唐突に、頼利さんが終わりを告げた。

わたしの体が解放される。

ぼぅっとして見上げると、頼利さんは手の甲で口元を拭いながら、わたしから顔を背けた。


「あ、あの……」


「こっち見んな。止まらなくなりそうでヤバい」


「え、あ、は……はい」


こっち見んなって、わたしのセリフだ。

恋人役、想定以上に完璧な演技ができるかもしれない。

ドキドキとふわふわとくらくらが収まらない。

わたし、今、すっごく女の顔をしてると思う。


うわぁ。

何かヤバい。


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