スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―
「いやあの、消去法ってわけじゃなくって、ジャズで意気投合した今の呼吸だったら、恋人役を演じるっていうムチャクチャもやってのけられそうな気がしてて」
「おれとしては、役柄じゃなくて、本物の恋人でも構わねぇんだが?」
「だ、だから、らみちゃんの保護者さんである上條さんとは、そーいうカンケイは……って、ななな何ですか、あのっ」
腰を抱き寄せられるようにして、椅子から立たされた。
力強い腕がわたしの腰に回されてて、上半身をそらすけど、密着したまま離れることができない。
だいぶ身長差がある。
どこか危険な微笑みに見下ろされてる。
「せっかくの演技なんだから、多少の演出があってもいいだろ?」
「え、演出!?」
「こういう筋書きにしようぜ。あんたが今まであの男からの連絡に応じなかったのは、嫉妬に駆られたおれがベッドの上でさんざんおしおきしてたから」
頼利さんの指がわたしのあごに触れた。
わたしがびっくりして固まってるうちに、その長い指がツイッと滑っていって、ポロシャツのボタン代わりの襟元のジッパーを下ろす。
なけなしの谷間が半分くらいのぞいてしまう。
「ちょっと、待っ……!?」
頼利さんが体をかがめて、わたしの首筋を吸った。
かすかな痛みと甘い痺れに、一瞬、めまいがした。
とっさに頼利さんの肩にしがみつく。