スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―


美香子先生は、柚子シャーベットの最後の一口を大事そうに味わって、スプーンとお皿を置いた。


「喜多小学校での仕事が始まって、天国だなって感じた。子どもたちが本当にかわいくて、保健室の先生の仕事が、また楽しくなった。

それと、体調や食事のバランスが戻ったのは、なぎさ先生と俊文くんのおかげが大きいのよ」


わたしと俊くんが、同時に「何で?」と訊いた。

いや、俊くんが訊く意味はないでしょ。

いつもこうしておいしくて栄養バランスのいい食事を提供してくれてるんだから。


美香子先生はにこにこして、わたしと俊くんを順繰りに見つめた。


「人との会話が楽しい。お酒を飲むのが楽しい。食事をするのが楽しい。そして、居心地のいいお店があって、優しくて気の合う友達がいる。そのことに、わたしは救われているの。

今は本当にストレスがない生活で、幸せだわ。ずっと続けばいいのにね」


俊くんが訳知り顔でうなずいた。


「公立の学校の先生っていう仕事は、3年周期くらいで転勤があるんだよね? 次の赴任校の環境次第で、またすごいストレスにさらされるかもしれないんだ。

おれみたいな職業とは全然違うな。おれは、環境が変わるってこと、ほとんどあり得ないし」


「そうね。俊文くんには、あまり変わらないでいてほしいかな。これはわたしのわがままだけど」


「変わらないまま、ちゃんと成長だけはしたいと思ってるよ。ご指導よろしくお願いします」


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