スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―


「学校で配られたプリントはおうちの人に見せましょうって、4の2ルールに書いてあるよね。あたし、4の2ルール、ちゃんと全部覚えてて、全部言えるんだよ」


らみちゃんは得意げに、にこにこしている。

言い付けを守ってて偉いでしょって、そんな顔。


いやいやいや、あのね、おうちの人っていうのは、らみちゃんの場合は叔父である頼利さんになるでしょうが!

ちょっと想像したら、そのへんわかるでしょう!?

「うちには叔父さんしかいないけど、どうしよう?」って質問、出てくるでしょう!?


と、喉元まで出かかった言葉を呑み込む。

わたしはこっそり深呼吸して、忍耐力を総動員して、らみちゃんの笑顔にうなずいてみせた。


「4の2ルール、全部覚えてるって、らみちゃんはすごいね。でも、4の2ルールは完全なものじゃないって話をしたこと、覚えてる?」


「覚えてる! だから、1年間かけながら、みんなで4の2ルールを育てていくんだよね」


「うん、そう。それでね、先生、プリントを渡すときの4の2ルールが完全じゃなかったって、さっき気付いたの。

おうちの人を『おとうさん、おかあさん』って言ったけど、その2人だけじゃ足りなかったな、って」


「そーなの!?」


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