水玉模様
そんな事、起こり得る訳がないのに。

「噂とかにならないといいよね…。」

「瀬口さん気にしすぎ。大丈夫だから。ね?」

「でも、森さんに悪いし…。」

「沙耶香はーーー…。」

「悠ッ!遅かったじゃん!」


あぁ…噂をすれば。

生徒指導室から教室までの廊下が、2人きりのままいつまでも続けばいいのに…なんて思っていたのも束の間。

「沙耶香…。」

「“沙耶香”じゃないよ!待ってたんだからねっ!早く帰ろ!」

森さんは、ちゃっかり(?)篠田くんのカバンを持ってきていた。

「…うん。瀬口さん、じゃぁ。」

「…じゃぁ。」

森さんは篠田くんの腕を掴むと、ぐいぐい引っ張って行ってしまった。

その途中、一度だけ振り返って、あたしを睨んだ。

「コワ…。」

あたしは小さくつぶやいて、教室へ戻った。

篠田くん、さっき何を言おうとしたんだろう…。
< 103 / 358 >

この作品をシェア

pagetop