水玉模様
お昼を過ぎる頃には、事実とはかけ離れた内容で、それは広まっていた…。




「早く夏休みにならないかなぁ~。暑くて死にそう…。」

「あやねはいつも大げさすぎるって。」

「そぉかなー。」

朝、あたしはいつもの様に、あやねとトイレで鏡とにらめっこしていた。

…あ。

森…沙耶香。

いつもならここで気付かないフリ、目も合わせない…篠田くんの彼女であってもあたしとは直接関係ないからだ。

当然彼女も、あたしの存在なんか気にも留めていないだろう。

でも、今朝は違った…。

「瀬口さん。」

「え…。」

あたしが振り向こうとするよりも早く、森さんは言葉を続けた。

「瀬口さん、悠にちょっかい出さないでくれる?」

鏡に映る森さんは、かなり冷たい表情をしていた…。

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