水玉模様
クラスの子達から飛んできた言葉の意味が、理解できないでいた。

「ね、真相は⁈」

女子共が寄ってきて、こぶしをマイク代わりにあたしの口元に近づけて言った。

「…何の真相を言えばいいの?」

あたしは面倒くさそうに聞いた。

「だ~か~ら!昨日の指導室行きのワケ!」

「…。」

「瀬口さんと篠田くんが、保健室でチューしてた、ってやつ。瀬口さんからチューしたらしいじゃん?」

「…。」

「そんなこと誰が言ったのぉ?」

黙ってるあたしをよそに、隣にいるあやねが応対していた。

「ウワサ!」

「篠田、何も言わねーんだもん。だから瀬口を待ってたの!」

男子の声が飛んできて、その方向を見ると…篠田くんが囲まれていた。

「昨日…ねぇ。」

ため息まじりに言い教室を見渡すーーーみんなが話の続きを期待しているのがわかる。

ただ…篠田くんだけは、あたしを見ていなかった。


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