水玉模様
電車に揺られる、篠田くんとあたし。

駅に着く度に人が乗り降りしてきたけど、知っている顔はーーー……一向に現れなかった。


2人きり…なのかな。

どうしよう…。

カップルなんかに、見えちゃったりするのかな。



《旭市役所前~、旭市役所前に到着します…、》

旭市の降りる駅に着いたけど、あたし達は、混み合う電車の中で2人きりのままだった…。

「やっと着いたね。」

「ね。」

「瀬口さん足大丈夫?下駄で立ってたからしんどくない?」

あたし達が住んでるあたりから旭市までは、30分ちょい―――。

その間、他愛ない話をしながらも…あたしの事を気にしててくれたのかな。

「…大丈夫。」

「なら良かった。行こ?」

ぞろぞろと同じ目的であろう乗客に混ざって、あたしと篠田くんも電車を降りた。

「…ありがと。」

気にかけてくれて。

「ん?何が?」

< 151 / 358 >

この作品をシェア

pagetop