水玉模様
全身が、真っ赤になりそうだ…。

再び動き出した電車内で、あたしは篠田くんの顔をまともに見れていなかった。


ゴォォォーー……ッ…

「―――――――――。」

「え⁈何⁈」

篠田くんが何か言ったけど、トンネルを通過中の車内では何も聞こえなかった。

「だから…、」

篠田くんの唇が、あたしの耳に触りそうなくらい、近づいた…。

お願い…触れないでーーー。

「―――…っ。」

今度はしっかりと聞こえた、篠田くんの声。


「瀬口さん今日の浴衣似合ってるね、って言ったの。」


ゴォォーー…

電車がトンネルを抜け急に外の景色がひらけて、あたしは恥ずかしさでたまらなくなった。

あたしの全てが、見透かされてしまいそうになる…。


これは、本心?それともただの、思わせ振り?

ちらっとだけ見上げてみた篠田くんの顔は、あたしの大好きな…篠田くんだった。

ピアスが、キラリと光っていた。



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