水玉模様
「悪いけど、今日は俺と来てるから。もういい?」

静かに口を開いたのは、篠田くんだった…。

「それとタバコ。高校生なんじゃないの?」

「あ゙?だから何なんだよ、ウザッ!じゃーな、和奈。」

…やっと、連れの輪の中に戻ってくれた元カレの背中を、あたしは静かに見ていた。

「…。」

どうしよう…。

最悪だ…。


「瀬口さん、たこ焼き冷めちゃうよ?」

「……ッ。」

何事もなかった様な篠田くんの態度に、悲しいような申し訳ないような…そんな気持ちになる。

その笑顔に、泣きたくなってくる。

「なんか…すごく、ホントに、ごめんね…。」

混乱ぎみの頭をフル回転させて、何とか篠田くんに謝った。

「嫌な思い、させちゃったよね…。」

目に溜まってきた涙の粒が、だんだん大きくなってきた。

「俺は……て、え…?」

篠田くんが、目を丸くしてあたしを見ていた。

涙の存在を無視できなかったあたしの目―――嫌というくらい、頬を濡らしていた…。

< 158 / 358 >

この作品をシェア

pagetop