水玉模様
”瀬口さんを沙耶香のかわりだなんて思ってないから。”

泣き止まないあたしの手を、優しくひいてくれたこと…。


「…。」


篠田くんとの出来事が、あたしの中で1つ1つ…波紋となって蘇ってくるーーー。


そして修学旅行。

でもあたしはもう瞬の彼女になっていて…それなのに知ってしまった、篠田くんと森さんの関係。

“沙耶香は…彼女なんかじゃない。”


あの時の動揺といったら、それはかなりのモノだった…。


誕生日やお正月にも、メールをくれた。


そういう…ことだったの……?


大きな水玉が落ちてきて、波紋が出来たーーー…。

「……ッ。」


“ずっと、好きだった。”

なんで…。

なんで……。


瞬―――…。


「瀬口さん……?」

篠田くんは多分、困った様な心配した様な顔で、あたしを見ていたんだと思う。

目の前が霞んでーーー篠田くんの顔が、よく見えなかったんだ…。



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