水玉模様
てかこんなもんじゃない…。

この1年間の、篠田くんとあたしの関わりは―――…。

思い出してはいけない想いが、一瞬であたしの中に入ってきた。

1粒ずつ吐き出していったはずなのに…。

結構…頑張ったんだよ…?


なんで、そんなに簡単に戻ってくるの…?


「瀬口さん…ッ?」

篠田くんが、さっきよりもしっかりとした口調であたしの名前を呼んだ。

そして、あたしの肩を軽く掴むと、少し揺らしたーーー…。


溜まっていた涙が零れ落ちて、あたしの視界を鮮明にする。

「………。」

「ごめん、泣かせるつもりじゃ…。一方的すぎたよね。ホントごめん…。」

篠田くんは、申し訳なさそうな顔をしていた。



“…流されてね?状況に。”

聞こえるはずのない充也の声が、遠くから聞こえた気がした…。

違う…違うよ充也。

あたし流されてなんか…。

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