二度目は誠実に
「やっぱり谷さんは厳しいな。大石くん、頼むから谷さんに俺のことをよくお願いしておいてね。よろしくね」


総務課長は拓人の肩をポンポンと叩いて、他の席へと移動していく。

沙弓は小さくため息をついて、持ってきたコップに入っていたビールを飲む。

そこに拓人がビールを注ぎ足した。


「まあまあ、課長のフォローを頼めるのは谷しかいないんだから、嫌な顔していないで頼むよ」


「だって、課長のことばかり見ていたら、自分のことが出来なくなります」


「いや、だーいじょうぶ! 谷は仕事早いからちょっと課長のことが増えたくらいなんでもないでしょ? そんな毛嫌いしないでよろしく頼むよ」


沙弓は拓人がテーブルに置いたビール瓶を持ち、拓人のグラスに注ぐ。


「私になにかメリットあります? なにかご褒美とかあります?」


「よし! 俺が谷の欲しいものをあげるよ。なにが欲しい? なにかしたいでもいいし。何でも言ってごらん」


拓人はさあ! どーんと来い! と胸を叩いた。

しかし、そんな拓人を見る沙弓の目は冷やかだ。
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