二度目は誠実に
「分かりました。それまでにはお返し出きるようにします」


沙弓の返答に課長は安心して、自分のデスクに戻っていく。

昼休みまであと50分。入力はあと30分もあれば終わる。沙弓は頭の隅でランチを何にしようか考えた。

今日は和食の気分。お蕎麦がいいかな、親子丼もいいな。

想像をするとお腹が鳴りそう。


「よお、がんばってるー?」


「大石さん! お疲れさまです!」


「うんうん、内田くんはいつも元気がいいねー」


沙弓は総務部に現れた拓人の声に耳は傾けたけれど、顔は向けなかった。

嫌いな人をわざわざ見る必要はない。

拓人は横目で沙弓を見ながら、純太の質問に答えて、激励の言葉を送る。


「うんうん、その調子でがんばって」


「ありがとうございます! もし良かったら、昼一緒に食べませんか?」


「ああ、いいねー。行こうか」


昼休みまであと数分となり、沙弓の心は親子丼に決まった。入力が終わったので、課長の文書にざっと目を通しながら昼休みになるのを待った。

昼休み開始を告げるチャイムが鳴り、財布を片手に持ち、たちあがろうとしたとき、背後から声が掛かる。
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