二度目は誠実に
「困るって言ったじゃないのよ……」


ポツリと呟いて沙弓も拓人を追うように総務部のフロアを出た。ちゃんと断ろうと思った。だけど、廊下を途中まで歩いて立ち止まる。

今すぐ返事をしなくてもいいかも。

デートしてから答えを出してみるのもいいかもしれない。もっと断れる理由が出来るかもしれない。

拓人が納得してくれる理由が出来ればいい。

そんな思いで沙弓は拓人の誘いを受け入れることにした。

平日の夜は忙しくて時間が取れないという拓人に合わせて、休日にデートをすることになる。

貴重な休日を好きでもない相手と過ごすのは不本意だけど、これも全てを終わりにさせるためだと割り切ることにした。
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