二度目は誠実に
お願いします
休日デートにすると決めても二人の予定が合わず、実現したのは朝晩に涼しさを感じるようになった10月だった。

沙弓は家の近くにあるコンビニまで歩く。時間を確認すると10時まであと5分だった。コンビニに着いて、中に入るとペットボトル飲料が冷やされている冷蔵庫の前に拓人が立っていた。

沙弓は背後から「おはようございます」と声を掛ける。拓人は、振り向いて「おはよう」と返して、沙弓に何を飲むかを訊ねた。

二人分の飲み物を買って、拓人の車に乗る。


「おじゃまします」


「そんな固くならなくていいから、リラックスしてねー」


「どこまで行くんですか?」


ちょっと遠出したいから車で迎えに行くと言われたのは三日前だった。日にちを決めたときの予定では映画を観るつもりだった。それで、映画館のある最寄り駅での待ち合わせをしていたが、変更となった。

沙弓は突然の変更に戸惑ったが、断る理由が思い浮かばず提案に了承するしかなかった。

せめて行き先くらい聞いておけばよかったと後悔したのは今朝になってからだ。
< 75 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop