二度目は誠実に
「ありがとうございました」


「いいえー。じゃあ、拓人も入ってきなよ」


「ちなも一緒に入るー」


「よし、知奈(ちな)も入るか。谷、悪いけど待っててな。遥香(はるか)、説明しといて。よろしく」


拓人と女の子が手を繋いでバスルームへ消えると、沙弓はソファーに座るよう促された。


「ちゃんと自己紹介させてもらうね。私は、藤田遥香で娘は知奈といって、今3歳」


拓人と苗字が違うのは籍を入れてないのか、認知だけしてるのか、もしくは結婚して離婚したのか……沙弓はあらゆる可能性を思い浮かべた。


「でね、沙弓ちゃん」


「あ、すみません。私は大石さんと同じ会社に勤めている谷沙弓といいます」


「あらーやだー。本当に拓人が言ってたとおり真面目なのね。丁寧にありがとう!」


遥香は楽しそうに笑いながら、沙弓の前に紅茶の入ったカップを置いた。


「ありがとうございます。すみません、突然お邪魔してしまって」


「いいのよー。いつも弟がお世話になっているんでしょ?」


「弟?」
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