二度目は誠実に
沙弓は突然考えもしてなかった言葉を言われて、紅茶のカップを持ったままの状態で固まった。


「そうよ、私と拓人は姉弟なのよ。それも双子のね」


「姉弟で双子……ですか?」


「そうなのよ! だからねー、知奈は拓人にも似てるのよねー」


言われてみると拓人と遥香も似ている。一卵性双生児ではないから同じ顔というほどのそっくりさはないけど、同じ血が流れているように見える。

遥香の緩い話し方は拓人に似ていた。


「今日はデートだからうちには寄らないと言っていたけど、濡れたから風呂貸してと電話をかけてきたときはビックリしたわ。しかも連れてくる子は彼女候補の子だって言うしねー」


「彼女候補?」


「ねえねえ、まだ付き合っていないの? うちの拓人、身内が言うのもなんだけど、真面目だし、優しいわよ」


真面目で優しいのは沙弓も知っている。遥香の言葉に「はい」と頷いた。拓人を疑ってしまって悪かったと思う。

遥香は拓人に似た笑顔を見せて、沙弓の隣に座り直した。紅茶を飲んでいた沙弓はなんだろうと首を傾げる。
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