二度目は誠実に

遥香は沙弓の肩をポンポンと叩いた。


「拓人のこと嫌いじゃないよね？ 彼女候補ということは沙弓ちゃんが返事を保留にしてるのかなと思ったんだけど、なにか拓人のことで気になることがあったら、何でも聞いてね」


気になること……何かあった？ そもそも何で保留にしていた？

誠実じゃないからとちゃんと断ったのに、諦めてくれないからそれが保留になっていた？

でも、本当に誠実ではないのかな。


「あの、大石さん、あ、拓人さんは誠実な人ですか？」


「おお！ 谷が俺のことを名前で呼んでくれている！」


「ちょっと拓人。今沙弓ちゃんとは私が話してるんだから、あっちに行ってて。知奈、向こうのお部屋で遊んでいてね」


風呂から出た拓人と知奈は、遥香の言うことを聞いて、隣の子供部屋に消えた。すぐに知奈の楽しそうな声が聞こえてくる。


「中断してごめんね。拓人が誠実かどうかという話よね？ そうね、誠実だと思うけど、沙弓ちゃんには誠実に思えないなにかがあったのかな？」