二度目の初恋
何か用事がない限り柴田さんは家まで入ってこない。

もしかしてまた私やらかしちゃった?と思ったが

家に入ってくるなり理人は不機嫌さを露わにし、

柴田さんはかなり疲れた様子で理人に話しかけていた。

原因が私ではないのはなんとなくわかったが、近くにいない方がいいと感じた私は

存在感を消すようにささっとキッチンに逃げた。

「理人、今日みたいな事もうしないでね。あんな態度取ってたら仕事なくなるわよ」

「わかってるって。今日は…あー!もう俺疲れたから帰ってくんないかな」

「理人」

「大丈夫だって。頼むから一人にさせてよ」

理人の感情的になった声はキッチンまでまる聞こえだった。

何があったかよくわからないけどよほどのことがあったのだろう。

でも一人にさせてと言うのなら私もここにいてはいけないんじゃないの?

「わかったわ。明日は朝10時にはスタジオ入りしなきゃいけないから1時間前には迎えにくるから」

理人は柴田さんに背を向ける様にソファに座ると小さく頷いた。

柴田さんはしばらく理人を見ていたが諦めたのか小さく溜息をつきながら玄関の方へと向かった。
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